じゃがいもは家庭の食卓に欠かせない食材ですが
「ばれいしょ」と「メークイン」の違いをご存じでしょうか?
普段は同じもののように思われがちですが
実は意味がまったく異なります。
本記事では
「ばれいしょとは何か」
「メークインの特徴」
「両者の違いと料理に合わせた選び方」まで
わかりやすく解説します。
読めば今日から料理のじゃがいも選びがもっと楽しくなりますよ。
ばれいしょとは何か?
日本での「ばれいしょ」の意味
「ばれいしょ」とは
実は「じゃがいも全般」を指す言葉です。
日常では「じゃがいも」と呼ぶことがほとんどですが
農業分野や学術的な文脈では
「ばれいしょ」という言葉が使われます。
例えば農林水産省の統計や栽培指導書には
「ばれいしょ生産量」「ばれいしょの病害虫」
といった形で登場します。
つまり、「ばれいしょ」は特定の種類を指すのではなく
いわゆるナス科ナス属の多年草「ジャガイモ」という
作物そのものを表す名称なのです。
一般の消費者にとっては
耳慣れない言葉かもしれませんが
スーパーに並んでいる
男爵いもやメークイン、キタアカリなども
すべて「ばれいしょ」に分類されます。
要するに「ばれいしょ」は広い意味での総称
「じゃがいも」と同義だと理解すると分かりやすいでしょう。
また、北海道などの産地では
「ばれいしょ出荷組合」などの名称で
生産者グループが存在し
農業の現場では一般的に使われている言葉です。
私たちが普段「じゃがいも」と呼んでいる作物が
公式には「ばれいしょ」として扱われていると知ると
少し面白いですよね。
ばれいしょの歴史と日本での栽培の広がり
じゃがいもが日本に伝わったのは16世紀。
オランダ船によって
インドネシアのジャカルタ(当時の呼び名はバタビア)から
長崎へもたらされました。
これが「ジャガタライモ」と呼ばれる由来で
後に「じゃがいも」という名前に変化しました。
つまり、ばれいしょはもともと南米アンデスが原産で
世界中に広がっていった作物なのです。
日本では江戸時代に栽培が始まりましたが
主食としてではなく観賞用や
一部の地方での食材として扱われていました。
本格的に広まったのは明治時代以降で
北海道の開拓とともに栽培が急速に拡大しました。
北海道は冷涼な気候と広大な土地が
じゃがいも栽培に適しており
現在も日本の生産量の約8割を占めています。
また、戦後の食糧不足の時代には
ばれいしょは米に代わる重要なエネルギー源として
大切にされました。
その結果、現在でもご飯やパンと並んで
日常の食卓に欠かせない存在になっているのです。
歴史を振り返ると
ばれいしょは単なる副菜の材料ではなく
人々の暮らしを支えてきた
重要な作物だということが分かります。
世界でのじゃがいもの呼び方
ばれいしょは世界中で食べられている作物で
国や地域によって呼び方が異なります。
英語では「Potato(ポテト)」
フランス語では「Pomme de terre(大地のりんご)」
ドイツ語では「Kartoffel(カルトッフェル)」
と呼ばれています。
南米アンデス地方では「パパ」という呼び名が一般的です。
また、揚げたものを
イギリス英語では「chips」
アメリカ英語では「fries」
と呼ぶなど、加工や料理法によっても
呼び名が変わります。
こうした多様な呼び方は
その国の食文化と密接に結びついているのが
面白いところです。
日本では
「じゃがいも」という呼称が普及していますが
農業や行政の世界では「ばれいしょ」という名称が
正式に使われています。
世界の呼び名と比べると
由来や表現が異なっていて文化の違いを感じられますね。
ばれいしょの主な品種の種類
日本でよく見かけるばれいしょの品種には
大きく分けて「ホクホク系」と「しっとり系」があります。
代表的なホクホク系は「男爵いも」で
煮崩れしやすい特徴があり
ポテトサラダやコロッケにぴったりです。
一方で「メークイン」は
しっとり系で煮崩れしにくいため
肉じゃがやカレーなどに向いています。
その他にも
北海道を中心に栽培されている「キタアカリ」は
甘みが強くビタミンCが豊富で人気があります。
また「インカのめざめ」という品種は
小ぶりで黄色が濃く、栗のような甘さが特徴です。
さらに最近では
フレンチフライや加工用に特化した品種も登場し
用途に応じて多彩な選択肢があります。
日本の食卓でよく使われるじゃがいもは限られていますが
実は世界には数千種類もの品種が存在します。
アンデス地方では
色鮮やかな紫色や赤色のじゃがいもも栽培されており
料理に彩りを与える食材としても重宝されています。
栄養価と体にうれしいポイント
ばれいしょは、主食にもなり得るほど
栄養バランスの良い作物です。
特にデンプンが豊富で
エネルギー源として重要な役割を果たします。
また、ビタミンCを多く含んでいるのも特徴で
しかもじゃがいものビタミンCはデンプンに守られているため
加熱しても壊れにくいという利点があります。
さらに、カリウムも豊富に含まれており
塩分の摂りすぎを調整する働きがあるとされています。
食物繊維も含まれているため
食事全体のバランスを整える助けにもなります。
このように、ばれいしょは栄養面でも優れており
主菜にも副菜にも使える万能な食材だといえます。
特にご飯やパンに比べてビタミンCを摂りやすい点は
日本人の食生活において
大きなメリットといえるでしょう。
メークインとはどんな品種?
メークインの名前の由来
メークインの名前は
「May Queen(5月の女王)」に由来しています。
ヨーロッパでは春の訪れを祝う祭りで
「5月の女王」を選ぶ風習があり
その華やかで優雅なイメージにちなんで
命名されたといわれています。
品種そのものはイギリスで育成され
その後アメリカを経て大正時代に日本へ導入されました。
当時はまだ
じゃがいもといえば男爵いもが中心でしたが
メークインは煮崩れしにくく
料理の幅を広げる品種として注目され
徐々に普及していきました。
名前の響きが洋風でおしゃれなこともあり
当時の人々には新鮮でモダンな印象を与えたようです。
現在ではその特徴から
肉じゃがやカレーといった煮込み料理に欠かせない存在となり
日本の家庭料理にすっかり定着しています。
メークインの見た目と特徴
メークインの一番の特徴は、その細長い形です。
多くのじゃがいもが丸みを帯びているのに対し
メークインは楕円形でやや細長く
皮もなめらかで芽のくぼみが浅いのが特徴です。
調理する際に皮がむきやすく
カットしやすい点も
家庭で重宝される理由のひとつです。
食感は「しっとり系」で
加熱しても煮崩れしにくい性質を持っています。
そのため、長時間煮込む料理に向いており
カレーやシチュー、肉じゃがなどでよく使われます。
ホクホクとした食感が魅力の男爵いもとは対照的で
メークインはなめらかで柔らかい口当たりが特徴です。
また、でんぷん質の割合が比較的少ないため
ポテトサラダやコロッケにはあまり向きません。
そのかわり、煮汁を吸って味が染みやすいので
煮込み系料理で真価を発揮します。
メークインの栽培地域
メークインは寒冷地を中心に栽培されており
日本では主に北海道が大産地です。
特に北海道の十勝や道東地域では
広大な畑で大量に生産されています。
そのほか、九州や東北などでも
一部栽培されていますが
やはり流通量の大半は北海道産が占めています。
旬の時期は9月から11月にかけてで
この時期に収穫されたものは
貯蔵されながら翌年の春頃まで出荷されます。
保存性に優れているため年間を通して
スーパーで見かけることができるのも特徴です。
また、メークインは病気や害虫に比較的強いため
安定して収穫できる点も
農家にとって大きなメリットです。
生産者からも「扱いやすい品種」として
長く栽培され続けています。
メークインの保存方法と注意点
メークインを保存する際は
直射日光を避けて風通しのよい冷暗所に置くのが基本です。
じゃがいもは光に当たると表面が緑色に変色し
有害な成分であるソラニンが増えることがあります。
これはどの品種にも共通する注意点ですが
メークインも例外ではありません。
緑色になった部分や芽は必ず取り除いてから調理しましょう。
保存に適した温度は5〜10℃程度で
冷蔵庫の野菜室よりも
常温で涼しい場所のほうが長持ちします。
ただし夏場は室温が高くなりやすいため
新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室に入れるのがおすすめです。
また、りんごと一緒に保存すると
りんごから出るエチレンガスの働きで
芽が出にくくなるという知恵もあります。
メークインは比較的保存性が高い品種ですが
長期保存するとしだいに水分が抜けてしわが寄ってきます。
新鮮なうちに使うのが一番おいしく味わえるポイントです。
他の品種と比べたメリット・デメリット
メークインには他の品種にないメリットがあります。
最大の特徴は「煮崩れしにくい」点で
肉じゃがやシチューのように
長時間煮込む料理に最適です。
さらに、皮が薄くてむきやすいのも
調理の手間を減らしてくれる魅力のひとつです。
一方で、デメリットとしては
ホクホク感が少ないため
コロッケや粉ふきいもには向かない点が挙げられます。
また、甘みや香りの強さでは
「キタアカリ」や「インカのめざめ」に劣るため
味の個性を求める人には物足りなく感じられることもあります。
つまり、メークインは「万能型」ではなく
「煮込みに特化した品種」といえるでしょう。
用途をしっかり分けて選ぶことで
その良さを最大限に引き出すことができます。
ばれいしょとメークインの違い
「ばれいしょ=総称」「メークイン=品種」という関係
「ばれいしょ」と「メークイン」は
混同されやすいですが
実は明確に意味が異なります。
ばれいしょは農業用語で
「じゃがいも全般」を指す言葉です。
その中に含まれる具体的な品種のひとつが
「メークイン」なのです。
つまり、ばれいしょは大きなカテゴリー、
メークインはその一部という関係にあります。
これは「果物」と「りんご」の関係に例えると
分かりやすいでしょう。
果物という枠の中に
りんごやみかん、バナナがあるように
ばれいしょの中には
男爵いも、メークイン、キタアカリなど
多くの品種が存在しています。
したがって
「ばれいしょとメークインはどっちが正しい呼び方?」
と問われれば
どちらも正しいといえます。
ただし「ばれいしょ」は総称
「メークイン」は品種名
という違いを意識して使い分けることが大切です。
ホクホク系としっとり系の違い
じゃがいもは品種ごとに
「ホクホク系」と「しっとり系」に分けられます。
男爵いもやキタアカリはホクホク系で
火を通すとでんぷんが膨らんで粉っぽい食感になります。
コロッケやポテトサラダに向いているのはこのタイプです。
一方、メークインはしっとり系に分類されます。
加熱しても水分が多く
なめらかな食感を保つのが特徴です。
そのため、煮込み料理や炒め物に向いており
味が染み込みやすいという利点もあります。
この「ホクホク系」と「しっとり系」の違いを理解すると
料理に合った品種を選べるようになり
仕上がりがぐんと良くなります。
単なるじゃがいもと思われがちですが
品種によってこんなにも違いがあるのです。
向いている料理の違い
ばれいしょ全般は万能食材ですが
品種によって得意とする料理が異なります。
男爵いもはホクホク感を活かした
粉ふきいもやポテトサラダにぴったり。
一方、メークインは煮崩れしにくいので
肉じゃがやカレーに最適です。
さらにキタアカリは甘みが強く
ポタージュやグラタンにおすすめですし、
インカのめざめは栗のような甘さで
シンプルに蒸して食べると美味しいと評判です。
料理によって品種を使い分けると
家庭の食卓がワンランクアップします。
スーパーで「とりあえず安いものを選ぶ」から
「料理に合わせて品種を選ぶ」へと意識を変えるだけで
料理の完成度が大きく変わるのです。
調理時の食感の違い
男爵いもは加熱するとホクホクして崩れやすく
空気を含んだ軽やかな食感になります。
これがポテトサラダやコロッケに最適な理由です。
反対にメークインは火を通しても形が崩れにくく
口当たりがなめらかでモチモチ感があります。
そのため、長時間煮込む
シチューやカレーで存在感を保ちつつ
やわらかく仕上がります。
また、食感の違いは揚げ物にも影響します。
フライドポテトにすると
男爵いもは外がカリッと中はホクホク
メークインは全体的にしっとりして食べ応えが増します。
どちらを好むかは人それぞれですが
この違いを知っていれば食感を楽しみながら調理できます。
値段や市場での扱われ方の違い
市場での価格を見ると
男爵いもとメークインは比較的安価で
安定して流通しています。
どちらも北海道を中心に大量に生産されているため
手に入りやすく家庭でも定番です。
一方で、キタアカリやインカのめざめなどは
生産量が少なく
やや高値で取引されることが多いです。
そのため、スーパーよりも
直売所や通販で目にする機会が多いかもしれません。
メークインは「煮込み用」として
飲食店や給食でも重宝されるため
大口需要も多くあります。
つまり「庶民的でありながらプロにも愛される品種」
といえるでしょう。
料理に合わせた選び方
煮物に向いているじゃがいも
煮物といえば肉じゃがや筑前煮が定番ですが
この料理に適しているのはやはりメークインです。
メークインは水分が多く
加熱してもデンプンが崩れにくいため
長時間煮込んでも形がきれいに残ります。
特に肉じゃがでは
じゃがいもが煮崩れると見た目が濁ってしまいますが
メークインならゴロゴロとした形を保ちながら
中まで味が染み込んでくれるので理想的です。
一方、男爵いもはホクホク感が魅力ですが
煮崩れしやすく
長時間煮込む料理にはあまり向きません。
汁物に入れると溶けてしまうことが多く
見た目も食感も損なわれてしまいます。
ただし
あえて崩れさせてとろみを出したい場合には
男爵いもを使うのもありです。
最近ではキタアカリを使った肉じゃがも人気があります。
キタアカリはホクホクしつつも甘みが強く
短時間の煮物であればしっかりと形を保ちます。
用途や仕上げたいイメージによって
「しっかり形を残したいならメークイン」
「ホクホク感を楽しみたいならキタアカリ」
と選ぶとよいでしょう。
揚げ物に向いているじゃがいも
フライドポテトやコロッケといった
揚げ物に向いているのは
でんぷん質の多い男爵いもです。
揚げることで外側がカリッと
中はふんわりホクホクに仕上がります。
特にコロッケでは
つぶした時にポロポロとほぐれる食感が軽さを生み
サクッとした衣との相性も抜群です。
一方で、メークインを使うと食感がしっとりして
モチモチ感が出ます。
これを好む人も多く
居酒屋の太めのポテトフライなどでは
メークインを使うこともあります。
つまり、カリッと軽やかに仕上げたいなら男爵いも
食べ応えを重視したいならメークインという選び方ができます。
また、海外で人気の
「ステーキカットフライ(厚切りポテト)」には
メークインやレッドムーンといったしっとり系が向いています。
揚げても中まで柔らかく仕上がり
じゃがいもそのものの味をしっかり感じられます。
料理によって
「軽さ」か「食べ応え」かを基準に品種を選ぶと
仕上がりに大きな差が出るのです。
サラダやポテトサラダに合うじゃがいも
ポテトサラダに一番向いているのは男爵いもです。
ゆでるとホクホクして崩れやすいため
つぶしたときに軽い食感になり
マヨネーズや具材とよく絡みます。
特にきゅうりやハムなどの具材と合わせたときに
一体感のある仕上がりになるのが男爵いもの魅力です。
一方、メークインはしっとりしてつぶれにくいため
ポテトサラダに使うとやや重たい仕上がりになります。
ただし、角切りにしてそのまま入れる
「ごろごろポテトサラダ」には
メークインの方が適しています。
煮崩れせずに形を残すため
食感にアクセントが出て違った美味しさを楽しめます。
また、キタアカリはポテトサラダにすると
ほんのり甘みが加わり、やさしい味わいに仕上がります。
最近ではデパ地下やカフェでも
「甘みのあるポテトサラダ」として
人気が出てきています。
つまり、ポテトサラダひとつをとっても
どんな食感や味を求めるかによって
品種を選び分けるのがポイントです。
スープやシチューにおすすめの品種
シチューやスープに使う場合
煮込み時間や仕上がりの形によって
選ぶ品種が変わります。
具材としてじゃがいもの形を残したいなら
メークインが最適です。
長時間煮込んでも崩れず
ゴロゴロとした存在感を保ちつつ
中までやわらかく仕上がります。
逆に、なめらかなポタージュスープや
クリームスープを作りたいときは
男爵いもやキタアカリがおすすめです。
でんぷん質が多いため、裏ごしすると
クリーミーでふんわりした口当たりになります。
また、インカのめざめをスープに使うと
栗のような甘みが加わり、濃厚な味わいになります。
彩りを重視するなら
紫色の「シャドークイーン」を加えるのもおすすめで
見た目にも楽しい一皿に仕上がります。
シチューやスープは
「形を残すか、なめらかにするか」で選ぶと
じゃがいもの持ち味を最大限活かせます。
プロの料理人が選ぶじゃがいもの使い分け
プロの料理人は品種の特徴を理解し
料理に合わせてじゃがいもを厳密に使い分けています。
例えばフランス料理のシェフは
ピューレやグラタンには粉質の強い男爵いもを使用し
肉料理の付け合わせや煮込み料理にはメークインを選びます。
イタリアンでは、ニョッキには
男爵いもやキタアカリを使うことが多いです。
でんぷん質が多いほど生地がまとまりやすく
もちもち感のあるニョッキに仕上がります。
一方で
煮込みパスタやラグーに添えるじゃがいもには
煮崩れしにくいメークインが好まれます。
さらに
和食の職人は「煮崩れさせるかどうか」を
計算して品種を選びます。
お椀物には形を保つメークイン
煮物で自然なとろみを出したいときは男爵いも。
料理人にとってじゃがいもは単なる食材ではなく
料理全体の完成度を左右する重要な要素なのです。
じゃがいもをもっと楽しむために
家庭でできるじゃがいもの保存テクニック
じゃがいもは
常温で長期保存できる便利な食材ですが
保存方法を誤ると芽が出たり
しわが寄って風味が落ちてしまいます。
家庭での保存の基本は
「直射日光を避け、風通しのよい冷暗所に置く」
ことです。
新聞紙に包んで段ボールに入れ
玄関や床下収納など
涼しい場所に置くと長持ちします。
特に冬場や春先は
常温保存でも1か月以上持つことがあります。
一方、夏場は室温が高くなるため
冷蔵庫の野菜室を活用するのがおすすめです。
ただし冷えすぎるとでんぷんが糖に変化し
甘みが強くなりすぎて
調理に不向きになることもあります。
そのため、冷蔵保存する際は
新聞紙に包んで
温度変化を和らげる工夫をすると良いでしょう。
また、保存時にりんごを一緒に入れると
りんごから出るエチレンガスの作用で
芽が出にくくなります。
昔から農家で使われている知恵で
家庭でも簡単に実践できます。
大量に購入したときや
長期間保存したいときには試してみてください。
芽や青くなった部分の注意点
じゃがいもを保存していると
芽が出たり皮が緑色に変色することがあります。
これは「ソラニン」や「チャコニン」という
天然の有害成分が増えているサインです。
これらを多く摂取すると
吐き気や腹痛を引き起こす可能性があるため
調理前に必ず取り除くことが大切です。
芽が出た場合は芽の根元まで
しっかりえぐり取るようにしましょう。
また、皮が緑色に変わった部分も厚めに削ってください。
特に小さな子どもや高齢者に食べさせるときは
注意が必要です。
保存中に芽が出やすいのは高温や光の影響によるものです。
段ボールや紙袋に入れて光を遮り
涼しい場所で保管することが予防になります。
少しの芽なら取り除いて食べられますが
大きく育ってしまったものや全体が緑色になったものは
無理に食べず処分するのが安心です。
栄養を逃さない調理法
じゃがいもは炭水化物が豊富なだけでなく
ビタミンCやカリウムなども含んでいます。
特にビタミンCは水溶性で加熱に弱いのですが
じゃがいもに含まれるビタミンCは
デンプンに守られているため
比較的壊れにくいのが特徴です。
とはいえ、ゆでると水に溶け出してしまうため
なるべく栄養を逃さず調理する工夫が大切です。
おすすめは「皮ごと蒸す」方法です。
蒸すことで水にさらさずに加熱できるため
栄養の流出を防げます。
電子レンジで加熱するのも
同様に栄養を保ちやすい方法です。
また、皮付きのまま調理すると風味も増し
食感のアクセントにもなります。
一方、油で揚げると
カロリーが高くなりやすいので
調理法によっては注意が必要です。
栄養をしっかり活かしつつ
ヘルシーに食べたい場合は
蒸し料理やオーブン焼きがおすすめです。
海外のポテト料理と日本の料理の違い
世界中で食べられているじゃがいもですが
国によって調理法や食べ方が大きく異なります。
例えばアメリカでは
フライドポテトやマッシュポテトが定番で
肉料理の付け合わせとして欠かせません。
ドイツでは
じゃがいもサラダやジャーマンポテトが有名で
ビールのおつまみとして楽しまれます。
フランスでは
「グラタン・ドフィノワ」やポテトピューレが人気です。
一方、日本では
肉じゃがやカレーといった煮込み料理で活躍します。
煮崩れしにくいメークインが
日本の家庭料理で広く定着しているのも
この文化的背景があるからです。
海外ではシンプルに
塩やバターで味付けする料理が多いのに対し
日本では出汁や醤油などと組み合わせるため
品種の選び方も独特なのです。
こうして比較してみると
じゃがいもは単なる食材ではなく
それぞれの国の文化や食生活を象徴する存在だとわかります。
今後注目される新品種の紹介
最近はスーパーでも見かけることが
増えてきた新品種のじゃがいも。
代表的なのが「インカのめざめ」で
小ぶりながら濃い黄色と甘みが特徴です。
栗やさつまいものような風味で
シンプルに蒸して
塩やバターをつけるだけで絶品です。
「シャドークイーン」は紫色の果肉を持ち
アントシアニンという色素が含まれています。
サラダやスープに加えると彩りが華やかになり
料理の見た目を引き立てます。
「デストロイヤー(グラウンドペチカ)」は
赤紫色の皮に斑点があり、ユニークな見た目が人気。
ホクホク感が強く、煮物や揚げ物に向いています。
このように新品種は個性的で
味だけでなく色や形でも楽しめるのが魅力です。
これからは家庭料理でも
定番の男爵やメークインに加えて
こうした新品種を取り入れることで
料理の幅がさらに広がるでしょう。
まとめ
ばれいしょは「じゃがいも全般」を指す言葉で
その中の品種のひとつがメークインです。
メークインはしっとり系で煮崩れしにくく
煮込み料理に最適な特徴を持っています。
男爵いもなどのホクホク系とは
異なる食感を楽しめるため
料理に合わせて品種を選ぶことが重要です。
保存方法や調理法を工夫すれば
ばれいしょは一年中
おいしく食べられる万能な食材です。
品種の違いを知って
家庭料理の幅をもっと広げてみてください。